近年、AIによるイラスト生成が手軽に利用できるようになり、「AIでも十分なのでは?」と考える方も増えてきました。
便利で魅力的な技術である一方で、創作の現場ではさまざまな課題や配慮すべき点も存在します。
このページでは、イラストレーターとしての立場から、AIイラストの活用における考え方や注意点について、私なりの視点でお伝えします。
◆AIイラストの魅力と使いやすさ
見た目の美しさを重視するだけであれば、AIイラストを使うのも一つの選択肢だと思います。
短時間で高品質なビジュアルが得られ、個人利用や非商用の範囲ではコスト面でも魅力的です。
「どうしても明日までにイラストが欲しい」といった、極端に短納期なケースでは、少なくとも私はプロとしてお引き受けできません。やっつけ仕事で仕上げることは、表現の質にも責任にも関わるからです。
その点、AIであればプロンプトを入力するだけで即座にイラストが生成されるため、便利なツールであることは確かです。
◆利用における注意点
AIイラストには便利さや手軽さがある一方で、利用にあたって注意すべき点も存在します。
このページでは、商業利用や表現の観点から特に気をつけたい4つのポイントをまとめました。
(1) 意図が十分に反映されるとは限らない
AIは、与えられたキーワードをもとに画像を生成するだけで、制作者の意図を汲み取ったり、それを的確に伝えることを前提としていません。
一方で、イラストレーターは依頼者様のニーズを丁寧に読み取り、それをどのように表現すれば見る人に伝わるかを考えながら制作しています。
この違いは、完成したビジュアルの「伝わり方」に大きく影響します。
特にブランドイメージや世界観を大切にしたい場合には、細かなニュアンスの調整が不可欠です。

(2) 思わぬトラブルに繋がることがある
AIで生成したイラストは、学習元の大量の画像に含まれる表現パターンを再構成して出力するため、結果として既存の作品と似た構図・モチーフ・色使いになることがあります。そのため商業利用では、次のような問題が起きやすく注意が必要です。
- ブランドや商品イメージが既存の同業他社と近くなり、消費者に誤認や混同を招くリスクがある。
- 似た表現が市場に多数出回ると自社の独自性が薄れ、差別化やブランディングに悪影響を与える可能性がある。
- 仮に意図せず類似が発生した場合、取引先やユーザーからの信頼低下やクレームにつながることがある。
イラストレーターによる制作では、依頼者との打ち合わせやラフ確認、必要に応じた修正対応を通じて「他社と似ないための工夫」を意図的に組み込めます。たとえば固有のモチーフ設定、色彩設計、構図の独自化などを積み重ねることで、類似を低減できます。
商業用途で「他社と被らないこと」が重要な場合は、AI生成のみで完結させるよりも、人の手による設計やチェックを組み合わせることをおすすめします。
※以下のイラストは私が生成AI風の絵柄で例題として描いたものです。

(3) イラストの破綻を自分で解決する必要がある
一見すると完璧に見えるAIイラストですが、作画ミスが発生することも多々あります。こういった作画ミスの一切を自分でチェックしなければならないため、生成者にもある程度の見抜く目や修正できる力が要求されます。
※以下のイラストは私が生成AI風の絵柄で例題として描いたものです。

・桜が咲いているのに半そで
・左右の瞳のハイライトがおかしい
・襟の線の本数が左右で異なる
・指が6本
(4) 意志が感じられない
生成AIによるイラストには、「こう見せたい」「ここを見てほしい」といった意志が存在しません。
そのため、一見すると綺麗でも印象に残りにくく、似たようなイラストが大量に出回っているのが現状です。
一方で、人が描くイラストには、描き手の意志や感情が込められており、
「伝えたいこと」や「見せたいポイント」が絵柄の個性として自然に表れます。人が描いたイラストには、描き手のこう見せたい、ここを見てほしいといった意志が込められています。その感情が個性として絵柄に現れるのです。
仮に同じ顔立ちの人間がいるとして、人間味に溢れ、表情のコロコロ変わる人間と、張り付けたような笑顔を浮かべている感情の読めない人間のどちらが魅力的だと感じるでしょうか?
まとめ
AIイラストは便利なツールですが、すべての場面に適しているわけではありません。
用途や目的に応じて、最適な方法を選ぶことが大切です。
🎨イラストレーターに依頼するメリット
- 意図や想いを丁寧に汲み取れる
- 修正や継続的なやりとりが可能
- 権利関係を明確にできる
- 世界観やブランドに合わせた表現ができる
商業目的では、こうした点が信頼性や成果物の質に直結します。
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